債権回収とは

債権回収とは、貸したお金や売掛金など、相手に対して支払いを求める権利(債権)があるにもかかわらず、支払ってもらえていない場合に、その支払いを実現するための一連の対応のことです。話し合いによる解決から、裁判所を通じた強制的な手続きまで、状況に応じてさまざまな手段があります。

消滅時効に注意

債権には「消滅時効」があり、一定の期間が経過すると、権利があっても請求できなくなってしまいます。民法上、一般的な債権の消滅時効は、「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方とされています。

「そのうち払ってくれるだろう」と対応を先延ばしにしているうちに、時効が完成してしまうケースは少なくありません。時効の完成が近づいている場合は、内容証明郵便による請求(時効の完成猶予)や、訴訟提起(時効の更新)など、時効を止めるための対応を急ぐ必要があります。

交渉・内容証明郵便による督促

まずは相手方との交渉から始めるのが一般的です。電話や書面で支払いを求めても応じない場合は、内容証明郵便で督促を行うことがあります。内容証明郵便は、いつ・誰が・誰に・どのような内容を送ったかを郵便局が証明してくれる制度で、相手方に対して心理的なプレッシャーを与えるとともに、後の法的手続きの証拠としても役立ちます。

支払督促・民事調停

手続き内容
支払督促 簡易裁判所の書記官に申し立てる、比較的簡易・迅速な手続きです。相手方が異議を申し立てなければ、訴訟をせずに強制執行に進める債務名義(仮執行宣言付き支払督促)が得られます。ただし、相手方が異議を出すと、通常の訴訟手続きに移行します。
民事調停 裁判所の調停委員を交えて、話し合いによる解決を目指す手続きです。訴訟よりも柔軟な解決(分割払いの合意など)がしやすい一方、相手方が話し合いに応じなければ不成立に終わります。

保全手続(仮差押え)

訴訟には一定の時間がかかるため、その間に相手方が財産を処分・隠匿してしまうと、せっかく判決を得ても回収できなくなるおそれがあります。これを防ぐために、訴訟提起の前後に「仮差押え」という保全手続きを行い、相手方の預金や不動産などをあらかじめ動かせないようにしておくことがあります。

訴訟提起

交渉や支払督促、調停でも解決しない場合、裁判所に訴訟を提起します。訴訟では、契約の存在や、支払いを受けていないことなどを主張・立証していきます。判決に至る前に、和解によって解決することも多くあります。

強制執行

判決や和解調書などの債務名義を得ても、相手方が任意に支払わない場合は、強制執行の手続きに進みます。相手方の預金、給料、不動産などを差し押さえ、そこから回収を図ります。強制執行を行うには、まず相手方の財産を特定する必要があり、財産開示手続や第三者からの情報取得手続といった制度を活用することもあります。

損害賠償請求の考え方

損害賠償請求は、単なる貸金・売掛金の請求とは異なり、契約違反(債務不履行)や、故意・過失によって他人に損害を与えた場合(不法行為)に、その損害を金銭で賠償するよう求めるものです。

  • 損害賠償が認められるには、相手方に契約違反や過失などの帰責事由があること、それによって損害が生じたこと(因果関係)を示す必要があります
  • 損害額は、実際に生じた損害の範囲で認められるのが原則で、請求すれば言い値がそのまま認められるわけではありません
  • 請求する側にも落ち度があった場合、その割合に応じて賠償額が減額されることがあります(過失相殺)

損害賠償請求も、消滅時効の制度が適用されます。早めに証拠を整理し、時効を意識しながら対応を進めることが重要です。

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