この記事の内容
自己破産とは
自己破産とは、裁判所の手続きを通じて、支払いきれなくなった借金の返済義務を免除してもらう制度です。正式には「破産手続」と、その後の「免責手続」という2つの手続きから成り立っています。破産手続で、保有する財産を清算・配当したうえで、免責手続によって残った借金の支払義務を免除してもらう、という流れになります。
自己破産のメリット
- 免責が認められれば、債務の返済義務がなくなる(※税金など一部の債務は免責されない)
- 債権者からの督促・取り立てが止まる(弁護士に依頼した時点で、多くの場合、直接の連絡は止まる)
- 一定額以下の財産(生活に必要な家財道具、一定額までの現金等)は手元に残せる
自己破産のデメリット・注意点
- 一定以上の価値がある財産(不動産、高額な自動車、生命保険の解約返戻金等)は、原則として処分・換価される
- 信用情報機関に事故情報が登録され(いわゆる「ブラックリスト」)、一定期間、新たな借入れやクレジットカードの利用ができなくなる
- 一定期間、警備員・保険外交員など、一部の職業に就くことに制限が生じる
- 官報(国の公告紙)に氏名や住所が掲載される
- 連帯保証人がいる借金は、自分が免責されても、保証人への請求は続く
①戸籍や住民票に破産したことが記載される、②選挙権がなくなる、③破産したことが勤務先に知られる、といった誤解がありますが、いずれも通常は当てはまりません。ただし、③については、勤務先の人がたまたま官報を見た場合には知られてしまいますし、勤務先からの借入れがある場合は勤務先も破産手続に関与することになるため知られることになります。なお、同居の配偶者に知られずに破産手続を進めることは困難です。
免責とは
免責とは、裁判所が、破産者の借金の支払義務を法的に免除する決定のことです。破産手続を利用しても、この免責が認められなければ、借金はなくなりません。
次のような借金は、免責が認められても支払義務が残ります(非免責債権)。
- 税金や社会保険料などの公租公課
- 養育費や婚姻費用など、扶養義務に基づく債務
- 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償(故意による加害行為など)
- 破産手続において、あえて債権者名簿に記載しなかった債権(一部例外あり)
また、ギャンブルや浪費による著しい財産の減少、財産を隠す行為など、一定の事情(免責不許可事由)がある場合、原則として免責が認められません。ただし、実務上は、裁判所の裁量により免責が認められる「裁量免責」が広く運用されており、事情を丁寧に説明することで免責が認められるケースも多くあります。
同時廃止と管財事件の違い
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 同時廃止 | めぼしい財産がなく、免責不許可事由も特に問題にならない、比較的シンプルな事案で採られる手続きです。破産管財人が選任されず、手続きが早く終わる分、費用も比較的抑えられます。 |
| 管財事件 | 一定の財産がある場合や、免責の可否について調査が必要な事情がある場合に、破産管財人が選任されて行われる手続きです。財産の調査・換価や、免責調査に時間がかかるため、期間・費用ともに同時廃止より大きくなります。 |
どちらの手続きになるかは、保有財産の額や、免責不許可事由の有無などによって、裁判所が判断します。
手続きの流れ
一般的な流れ
- 相談・受任
収入・支出・借入状況等を確認し、自己破産が適切かどうかを検討します。 - 受任通知の発送
弁護士から各債権者に通知を送ることで、督促が止まります。 - 申立書類の準備
財産や借入れの状況を整理し、申立書類を作成します。 - 裁判所への申立て
管轄の地方裁判所に破産・免責の申立てを行います。 - 破産手続開始決定
財産状況等に応じて、同時廃止または管財事件として手続きが開始されます。 - (管財事件の場合)財産の調査・換価
破産管財人が財産を調査し、必要に応じて換価・配当を行います。 - 免責審尋・免責決定
裁判所での審尋を経て、免責の可否が判断されます。
同時廃止の場合はおおむね3〜6か月程度、管財事件の場合は半年〜1年程度かかることが多いですが、財産の内容や事案の複雑さによって前後します。