離婚の方法(協議・調停・裁判の違い)

離婚には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの方法があります。

方法内容
協議離婚 夫婦の話し合いで離婚に合意し、離婚届を提出する方法です。日本の離婚の多くは、この協議離婚によって成立しています。
調停離婚 話し合いがまとまらない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用する方法です。調停委員を交えて話し合いを行い、合意ができれば調停離婚が成立します。
裁判離婚 調停でも合意ができなかった場合に、裁判所に訴訟を提起し、判決によって離婚を成立させる方法です。裁判離婚には、後述する法定離婚事由が必要です。

なお、離婚に伴う財産分与・親権・養育費などの条件についても、あわせて取り決めておくことが重要です。特に協議離婚の場合、口約束のままにせず、公正証書等の書面に残しておくことをお勧めします。

離婚できる理由(法定離婚事由)

協議や調停で相手が離婚に同意しない場合、裁判で離婚を認めてもらうには、民法が定める次のいずれかの事情(法定離婚事由)が必要です。

  • 配偶者に不貞な行為があったこと
  • 配偶者から悪意で遺棄されたこと
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  • その他、婚姻を継続し難い重大な事由があること

最後の「婚姻を継続し難い重大な事由」には、性格の不一致、暴力・モラハラ、長期間の別居、生活費を渡さないことなど、さまざまな事情が含まれ得ます。事情によって認められるかどうかが変わるため、個別の状況を踏まえた見通しが必要です。

親権の考え方

令和8年(2026年)4月1日に施行された改正民法により、離婚後の親権の仕組みが変わりました。これまでは父母のどちらか一方のみを親権者と定める「単独親権」のみでしたが、改正後は、父母双方を親権者とする「共同親権」も選択できるようになっています。

共同親権にするか単独親権にするかは、まず父母の話し合いで決め、話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所が判断します。判断にあたっては、これまでの養育の状況や父母間の関係性、子どもの意向など、さまざまな事情が総合的に考慮されます。DVや虐待のおそれがあるなど、共同親権とすることで子どもの利益を害すると認められるときは、単独親権と定められます。

共同親権となった場合でも、日常の世話や急を要する場面(緊急の医療行為など)は、同居する親が単独で判断できます。一方、転居や進学先の決定、重大な医療行為など、子どもに大きな影響を与える事項については、原則として父母双方の合意が必要です。

養育費の考え方

養育費は、子どもと離れて暮らす親が、子どもの生活・教育のために支払う費用です。金額は、双方の収入や子どもの人数・年齢等をもとに、裁判所の算定表を参考にしながら取り決めるのが一般的です。

令和8年(2026年)4月1日施行の改正民法では、養育費の取り決めをしないまま離婚した場合でも、取り決めが成立するまでの間、子ども1人につき月額2万円を「法定養育費」として請求できる制度が新設されました。

財産分与の考え方

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を、離婚に際して分配する制度です。預貯金、不動産、保険の解約返戻金、退職金(将来分を含む場合もあります)などが対象になり得ます。

名義がどちらか一方になっている財産であっても、婚姻中に協力して築いたものであれば、財産分与の対象となるのが原則です。一方で、結婚前から持っていた財産や、相続・贈与によって得た財産は、原則として対象外(特有財産)とされます。

慰謝料の考え方(不貞・DV等)

慰謝料は、不貞行為やDV・モラルハラスメントなど、相手の有責な行為によって精神的な苦痛を受けた場合に請求できるものです。単なる性格の不一致など、どちらか一方に明確な責任があるとは言えないケースでは、慰謝料が認められにくい傾向があります。

不貞行為については、配偶者本人だけでなく、不貞相手に対しても慰謝料を請求できる場合があります。金額は、行為の内容・期間、婚姻関係への影響の程度などを踏まえて個別に判断されます。

婚姻費用の考え方

婚姻費用とは、婚姻関係にある夫婦が、その資産・収入等に応じて分担すべき生活費のことです。離婚が成立するまでの別居期間中も、夫婦である以上、収入の多い側が少ない側に生活費を分担する義務があります。

金額は、養育費と同様に、双方の収入や子どもの人数・年齢等をもとに、裁判所の算定表を参考に取り決めるのが一般的です。相手が任意に支払わない場合は、調停の申立てにより請求することができます。

面会交流の考え方

面会交流とは、離婚後(または別居中)に子どもと離れて暮らす親が、子どもと会い、つながりを保つことです。面会交流は、子どもが両親から愛情を受けて育つための重要な機会と位置づけられており、原則として認められるべきものとされています。

ただし、子どもへの虐待やDVの危険がある場合など、子どもの利益に反すると認められる事情があるときは、制限されることもあります。頻度・方法(面会の場所、宿泊の可否など)は、子どもの年齢や状況に応じて個別に取り決めます。

離婚調停・離婚訴訟の手続きの流れ

手続きの流れ

  1. 調停の申立て
    相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に、離婚調停の申立てを行います。
  2. 調停期日
    おおむね1か月に1回程度のペースで期日が開かれ、調停委員を介して双方の意向を調整します。当事者双方が顔を合わせずに進められるのが通常です。
  3. 調停成立・不成立
    合意ができれば調停離婚が成立します。合意に至らない場合は「不成立(不調)」として終了します。
  4. 離婚訴訟の提起
    調停が不成立となった場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起することができます。訴訟では、法定離婚事由の有無が審理されます。
  5. 口頭弁論・尋問
    書面のやり取りや、必要に応じて当事者尋問等を経て、裁判所が事実関係を認定します。
  6. 判決・和解
    訴訟の途中で和解が成立することも多くあります。和解に至らない場合は、判決によって離婚の可否が判断されます。